宇都宮の歯医者さん、桜ケ丘デンタルクリニックです。
今回のテーマは「ホワイトニングの仕組み」です。
歯が変色している場合、ホワイトニングをすることで白くできます。
しかし、そもそもホワイトニングではどうやって歯を白くしているのでしょうか。
歯に負担を掛けているのではないか?…中にはそう心配に思う人もいるでしょう。
そこで、ここではホワイトニングの仕組みについて説明していきます。
歯の変色には2つのパターンがあり、1つは歯の表面が変色しているパターンです。
この場合、原因はコーヒーや紅茶や食べ物などの着色や汚れです。
もう1つは歯の表面の奥…つまり象牙質が変色しているパターンです。
ホワイトニングはどちらのパターンの変色にも対応でき、歯を白くすることができます。
ホワイトニングで使用する薬剤には過酸化水素が含まれており、この過酸化水素の効果で歯を白くできます。
まず過酸化水素によって歯の表面のエナメル質が無色透明になるため、
これによって着色や汚れのない元通りのエナメル質になり、歯の表面の変色を落とせます。
次に象牙質の変色を白くする仕組み…これについては少々細かい説明が必要です。
象牙質は歯の表面…つまりエナメル質の奥にあるため、歯の表面をいくら綺麗にしても白くはなりません。
ではどうやって白くするのか?…実は白くしているのではなく白く見せているのです。
ホワイトニング剤の過酸化水素は、エナメル質を無色透明にするだけでなく構造変化まで起こさせます。
具体的には、角状から球状に変化するのです。すると象牙質に光が反射してマスキング効果が働き、
変色した象牙質が見えなくなって白くなったように見えるのです。
象牙質が白くなるのは、エナメル質が構造変化することでマスキング効果が働くからです。
とは言え、この説明ではイメージしづらいと思うので分かりやすい例えで説明しましょう。
浴室のガラスを想像してみてください。
もし浴室のガラスが透明ガラスなら、ガラス越しに入浴姿がうつってしまいます。
そうならないよう、実際には浴室のガラスは曇りガラスになっていますよね。
ホワイトニングでもこれと同じことをしているのです。
元々エナメル質は無色透明なので透明ガラスに等しく、その奥の変色した象牙質がうつってしまいます。
そこで構造変化によって透明ガラスのエナメル質を曇りガラス状態にし、
浴室を見えなくさせるように変色した象牙質を見えなくさせるのです。
ホワイトニングをしても白さは永久には持続せず、数ヶ月ほどで元の色に戻ってしまいます。
これは、エナメル質が自己修復機能を持っているからです。
ホワイトニングによって構造変化させられたエナメルは、時間を掛けて元の状態に戻ろうとします。
そして元に戻ることでマスキング効果が失われ、白さが失われてしまうのです。
こうした後戻り自体はどうしても起こってしまいますが、ホワイトニングは重ねて行える治療です。
このため、定期的に行うことで白さを維持し続けることは可能です。
ちなみにホワイトニングは歯科医院で行うオフィスホワイトニングだけでなく、
自宅で行うホームホワイトニングと呼ばれる方法があります。
白さの持続期間だけで考えれば、ホームホワイトニングの方が白さを長く維持できます。
薬局などに行くとホワイトニング効果のある歯磨き粉が販売されていますが、
これは歯科医院で行うホワイトニングとは全くの別物です。
と言うのも、ホワイトニング歯磨き粉には過酸化水素が含まれていないのです。
これは、過酸化水素は危険性が高いため、
薬剤で使用するには資格を持つ歯科医でなければならないのが理由です。
市販のホワイトニング歯磨き粉の効果は、ホワイトニングと言うよりはクリーニングです。
歯の表面の着色や汚れ程度を落とすことはできますが、
ホワイトニングのように象牙質を白くすることはできません。
つまり変色した象牙質に対しては、市販のホワイトニング歯磨き粉では対処できないのです。
いかがでしたか?
最後に、ホワイトニングの仕組みについてまとめます。
1. 歯の変色のパターン :歯の表面が変色しているパターンと象牙質が変色しているパターンがある
2. ホワイトニングの仕組み :過酸化水素によってエナメル質にマスキング効果が働き、象牙質の変色を隠す
3. マスキング効果の例え :浴室を象牙質、浴室の曇りガラスをエナメル質に例えると分かりやすい
4. ホワイトニングと後戻り :構造変化したエナメル質は元に戻ろうとするため、白さは永久には続かない
5. 市販のホワイトニング歯磨き粉 :全くの別物で、象牙質の変色には対処できない
これら5つのことから、ホワイトニングの仕組みについて分かります。
まとめると、ホワイトニングで歯が白くなるのは薬剤に含まれる過酸化水素の効果です。
過酸化水素がエナメル質を構造変化させ、それによって象牙質をうつらなくさせるのです。
つまり変色した象牙質をマスキングするわけで、
その意味では「歯を白くする」ではなく「歯を白く見せる」がホワイトニングの仕組みです。